彼と私と秘密の欠片
ほのぼのとしていたけれど、突然栄太君が私の腕の中でもぞもぞと動き始めた。
「ん? どうしたの?」
栄太君のことを覗き込むと、栄太君は私の胸をぺたぺたと触ってくる。
別に赤ちゃんだから何とも思わないけど、何がしたいのかは分からない。
すると今度は、私の胸に顔をこすり付けてきた。
まるで何かを探すように、弄っている。
「な……何?」
あまりにも執拗な触り具合に、流石に私も焦る。
「あ……もしかしたらおっぱい探してるのかも」
誠司さんの口からさらっとそんな言葉が出てきて驚いた。
勿論、イヤらしい意味ではないのは分かっているけれど、なんだかちょっと恥ずかしい。
「俺の母親に抱っこされてる時も、しょっちゅうするんだ。もうそろそろ乳離れしていかないといけないんだけどさ……栄太は、母親の母乳で育たなかったから、無意識にでも女の人の胸に触ってると、安心するのかなって思うんだ」
……そっか。
栄太君は産まれると同時にお母さんが居なくなっちゃったから……お母さんのこと、分からないんだよね。
今はまだ小さいからちゃんと分からないかもしれないけど、やっぱり、お母さんが恋しかったりするんだろうな。
そう思うと、腕の中の栄太君が、何ともいえない、物凄く脆い存在に感じる。
ちゃんと大切に扱わないと、あっという間に壊れてしまいそうな、ちゃんと誰かが守ってあげないと……て、そんな気持ちが。
もしかして、これが母性本能っていうやつなのかな。
自分の思ったことにちょっと感動していると、栄太君が私の胸元をさっきよりも強く掴んで引っ張って、キャミソールをずらそうとしていた。
「えっ、わっ……ちょっとっ」
このままじゃ見えちゃう!