イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
ちょっと付き合ってもらうだけだもん。

 謝礼を渡せばオーケーしてくれるかもしれない。

「ちょっと待った。かなり侮辱されたような気がするんだけど」

私に断られてプライドを傷つけられたのか、彼は不満を口にする。

「それに、赤の他人に頼んでどうするの?変な男なら簡単にホテルに連れ込まれるよ。だから、俺がやってあげるよ、面白そうじゃないか。最近、夜一人でいるのもちょっと飽きてきて退屈してたんだよね」

 瑠海が悪魔のような微笑を浮かべた。

 何でそうなる?

 私で暇つぶさないで欲しい。

 前会った女の人とでもイチャイチャしてれば良いじゃないか。

「本当に結構です。瑠海じゃあ、うちの兄と木村さんは誤魔化せませんよ」

 言い方が悪かった。

 私はどうやら瑠海の闘争心に火をつけてしまったらしい。
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