イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「何で一緒に?」

「効率良いだろ?恥ずかしがらなくても、もうお互いの事は全部知ってるし」

 瑠海が耳元で囁くが、なんかくすぐったい。

 私の頭の中は混乱していた。

 お互いの事は全部知ってるってどういう事?

 私に限ってまさか……彼と寝た。

いやいや、そんなのあり得ない。

すぐに否定するも、あり得ない現実が目の前にいる。

じゃあ、なんで彼と一緒にベッドにいるの?

昨夜、越前ガニを美味しく食べたまでは覚えている。でも、その後、どうやって店を出たのか……。

うーん?あれ?あれれ……。

 考えても思い出せないし、答えなんて出ない。

頭は混乱していて、サーッと顔から血の気が引いていく。

「桃華?ひょっとしてまだ寝ぼけてる?」

彼が楽しげに私の頰を撫でるが、パニックになっていて言葉が出てこなかった。

「じゃあ、キスしたら目が覚めるかな?」

 瑠海の綺麗な顔がさらに近づいてくる。

 だが、はっと我に返り、すんでのところで彼の唇に手を当てた。

「け、け、結構です!ちゃんと起きてますから」

なんとかそれだけ口にする。

「遠慮しなくていいのに」

 瑠海がフッと微笑する。
< 137 / 311 >

この作品をシェア

pagetop