イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 本当は戻らずにそのまま玄関に直行したかったけど、シャーリーも家の鍵も寝室にあるのだから仕方がない。

「お帰り。早かったね。朝食食べてく?」

 瑠海が面白そうに私を見ているが、今の私には返事をする余裕もなかった。

は、早く帰らなきゃ!

 目の前にあるシャーリーバッグを掴み、ここから去ろうとしたら、彼に呼び止められた。

「桃華、忘れ物だよ」

 いやいや振り返ると、瑠海が私のスマホを掲げた。

「すみません。ありがとうございます」

 瑠海の顔を見ずにスマホを受け取ろうとしたら、彼は悪戯っ子のように急にそれを引っ込めた。

「桃華が起きる前、お兄さんから電話がかかってきて悪いと思ったけど出たよ」

 げっ!

 何て事するの?

 悪いと思うなら出ないでよ。
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