イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 じゃなかった。

 昨日の夜何があったの?

 バスローブの下にはちゃんと下着をつけていたし、何かあったとは思えない。

 でも、このキスマーク見ると自信をなくす。

「何かあったの?なかったの?どっちなのよ!瑠海の馬鹿!」

 瑠海だけが答えを知っているのがムカつく。

「これからまた会社でどんな顔して会えばいいのよ!」

 何でよりにもよって瑠海なの!

 もし何かあったとしたら一番最悪な相手だ。

 どうせなら、区役所の職員とかもっと堅実で地味な相手の方がマシだった。

 王子となんて厄介なだけじゃない。

 スキャンダルはごめんだ。

 二度と恋人役なんて頼むもんか。

 あの時、ちゃんと恋人役を断っておけば良かった。
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