イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 誰が帰らせるか。

「関係ないって本当に思ってる?」

 俺が桃華の瞳を見つめると、彼女の瞳が震えた。

「俺が桃華をここに連れてきたのは、秘書としてじゃない。恋人としてだよ」

「私は恋人じゃあ……‼」

 反論しようとする桃華のその唇に指を当てる。

「時間の問題だよ。その証拠に桃華はキスを拒まない」

「瑠……海」 

 俺は顔を近づけ桃華のその可愛い唇に口づけ、彼女の身体をそっと抱き締める。

 自分の中にすっぽり収まるその身体。

 ほんのりピンクに色づく彼女の頬。

 全てが愛おしい。

 遭難しそうになったあの時から、桃華はキスに応えるようになった。

 最初は窒息死しそうだとか言ってたのに。
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