イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 キスを止めると、桃華はフウーッと吐息を漏らした。

 少し上気するその顔は色っぽくてすっかり女の顔だ。

「ほらね。これでも否定するの?」

「こ、こんなのずるいです!」

「前にも言ったよね。男はずるい生き物なんだ。欲しいものがあればどんな手を使っても手に入れる」

「開き直らないで下さいよ!」 

「もっとリラックスして、桃華。ルクエに着いてからずっと緊張してるよね?その不安、俺に分けてよ」

 もっと俺を信用して欲しい。

 俺が桃華の頬に手を当てると、彼女は伏し目がちになった。

「私は……庶民だし……瑠海には似合わない」

 か細くなるその声。

 身分違いと言いたいのか。

 俺は城で育っていないのに。

「そんな悲しい事言うとその口また塞ぐよ。それとも、今夜から俺と一緒の部屋で過ごす?ひとりになる時間があるからそんな余計な事考えるんだよね?」
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