イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 ルクエは石畳の街だ。

 街のシンボルはこのお城と、ここから数キロ先にある大聖堂。

 ローズロードと呼ばれる薔薇のつたで覆われた道をのんびり歩いて行くと、大聖堂が見えてきた。

 周囲には土産物屋やカフェが立ち並んでる。

 ネットで調べたカフェが目の前にあった。

 店のガラスケースの中にあるいろんな種類のケーキを見てテンションが上がる。

「この洋梨のタルト美味しそう。ウィーンじゃないけど、このザッハトルテもいいし、あっ、この一番人気のプディングも捨てがたい。どうしよう?」

 ひとり幸せに浸っていると、後ろからよく知った声がした。

「折角だから好きなの全部食べたら?」


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