イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「え?」

 気づいた時には瑠海が私の手ごとフォークを持ってケーキを口に運んでいた。

「か、間接……キス」

 瑠海の綺麗な口元をポカンと見つめて呟けば、彼にトンと頭を小突かれた。

「何小学生みたいな事言ってるの?本物のキスだって何度もしてるよね?忘れた?」

「わ、忘れてません!」

慌てて認める。

 ここで忘れたと言ったら絶対キスする。

 瑠海の目がそう言っているよ。

「そう答えたらキスしないと思ってるでしょう?まだまだ甘いよ」

 口角を上げると、瑠海はサングラスを外して私に顔を近づけるとペロリと私の唇を舐めた。

ええ〜!

驚きで目を見開く私。

公衆の面前で何をするんだ!

 この人、皇太子の自覚ある?
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