イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 車で待っていれば兄が現れるはずだったのに、車の窓を叩いたのは……木村さんだった。

 何で木村さんが?

 お兄ちゃんはどうしたの?

「先輩なら来ませんよ。ちょうど桃華さんの電話があった時、先輩と一緒に食事をしてたんです。ここへは僕が志願して来ました」

 お兄ちゃんはまた余計な事を……。

 今は彼と話をする気分になれない。

「しつこいと思われるかもしれませんが、僕と一緒にワシントンに行きませんか?」

 この状況で、私にそれを聞くか?

 今はそっとしておいて欲しい。

「行きません」

きっぱりと彼に告げた。

「即答ですね。考えてもくれないんですね」

 木村さんが苦笑する。
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