イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 瑠海は私の涙を拭うと、私の唇にそっと触れて口づけた。

 彼の優しさが伝わってくる。

「桃華は桃華らしく……ね」

 私だけの王子さまはそう言って微笑んだ。

「はい」

 私が頷くと、瑠海は自分のコートの中に私を入れてぎゅっと抱き締めた。

 心も身体も幸せで満たされる。

「ずっとこうしていたいとこだけど、このままだとふたりとも風邪を引く。まずは温泉に入って温まろう。カニ食べたくてここに来たんでしょ?」

「……そうです」

 やっぱり瑠海は全部お見通し。

 こうなったら瑠海に全面降伏しますよ。

「美味しいのいっぱい食べさせてあげるよ。今日予約した旅館は部屋出しだし、日本酒飲んで眠くなってもすぐに寝て大丈夫。一緒に寝れるよ」

 瑠海が悪魔のような微笑を浮かべる。
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