イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 今、さらっと言ったけど、それってつまり……彼とついに身体を重ねるってこと?

 やっぱり、全面降伏撤回!

 でも、待って。

 私と瑠海はすでにそういう関係なの?

 結局どっちなんだっけ?

 フランス出張でいろいろありすぎて忘れた。
 
 私が考え込んでいたら、瑠海がまた私の思考を読んだ。

「あの夜は何もなかったよ。今日はどうなるかわからないけどね。そろそろ俺も我慢の限界」

 瑠海が悪戯っぽく笑う。

 また、私をからかって楽しんでる。

「やっぱりエロじじい」

 私がほっぺを膨らませると、瑠海はそんな事は気にせず私の耳元で甘く囁いた。

「エロじじいで結構。でも、桃華の全ては俺がもらうから」

 彼の言葉に私の顔がまた火がついたようにぼっと赤くなる。

「そう言えば、イーサンと賭けをしてたっけ。この分だと俺が負けそうだな。でも、皇太子も押し付けてきたし、俺は欲しいものを手に入れたし、まあいいか」

「何の話ですか?」

「俺が30までに結婚するのかって話。俺を夫にしてくれるんだよね?」

「え、えと……」

 何で話がどんどん飛躍してくの?そのうち赤ちゃんの話とかしそう。

「イエスと言わないと、美味しいカニ食べられないよ」

「あっ、狡い!お、お、夫にしてあげます!」

 戻ってきた瑠海との楽しい時間。

 彼がいる限り、おばあちゃんになっても私のドキドキはなくならないだろう。
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