イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 ほんと、お兄ちゃんは部下には厳しいくせに、妹には意外と甘過ぎるよ。

 クスッと笑みが溢れる。

 あっ、私……笑えてる。

 シャーリーがあんな事になったのにな。

 お兄ちゃんだったら、こんな目に遭ったらどうするだろう?

 お兄ちゃんは何事も決して諦めない。

 きっと、また一からお金を貯めて、またシャーリーを探すだろう。

 自分が諦めない限り可能性はゼロじゃない。

 何年かかってもシャーリーを探せば良いじゃないか。

 自分が諦めなければまたシャーリーに会えるかもしれない。

「お兄ちゃん、ありがとう!」

 頂きますをしてホットケーキを口に運んだ。

 メープルシロップがかなり染みている。

「お兄ちゃん、やっぱ甘過ぎ」

 そう言って、ホットミルクを飲むと口の中で甘さが中和された。

「……美味しい」
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