最低王子と恋の渦






「…あ」







ふと、順位表の最後の方に目が止まる。












〈30位 和久井直哉〉









…え、和久井くん載ってるじゃん。



和久井くんって頭良いの!?












「あ、田中さんだ!」









と、そこでタイミング良く和久井くんが現れる。



彼は私達のそばまでくると、嬉しそうに順位表を指差した。












「見た?俺30位だったんだぜ!」




「い、今見た…。和久井くんって勉強出来たんだね」




「いやぁいつもはもっと低いんだけど、今回は一番頑張ってさー。補習回避の為に死ぬ気で勉強したんだわ」




「お、お疲れ様」












なんだ、そういうことか。




…いやだとしてもいきなり30位ってすごいな…。



やれば出来る派な人なのかもしれない。






心底羨ましい。














「田中さん順位どうだった?」




「…ん?聞いちゃう?」




「あ…」














私の表情を読み取ったのか、和久井くんは察したようにその話を終わらせた。




もう順位の話やめようほんと。























「直哉~戻ってこーい」




「あ、ごめん、友達呼んでるから戻るわっ」














どうやら友達の輪から抜けて私達のところに来てくれていたようで、和久井くんは「じゃあね」と言い残してあっちへ戻っていった。




わざわざ言いに来てくれるなんて、よっぽど嬉しかったのかな。

















「…和久井くんて男女問わず人気だよね、密かに」



「え」















和久井くんが去った後、そう真剣な眼で言ったのは菜々だった。














「そ、そうなの?」




「だって顔も悪くないし人懐っこいしさ。なんか川平くんと被ってるよね」




「それは禁句」

















確かにそうだけどね…。






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