最低王子と恋の渦








日が暮れるにつれてざわざわと賑わってくる大通り。




もうすぐ6時になるから人が多くなっているのだろう。


私達も混まない内に中央広場へ向かうことにする。













「――わぁ、でかいなぁー」










中央広場に出ると、大きなクリスマスツリーが目に入った。


周りには既に大勢群がっていて、イルミネーションの点灯を今か今かと待っている。











「こんなに人いるんだね」



「そりゃあだってクリスマスイヴだもん」



「浮かれまくってるってことか」



「…ひねくれてるなぁ」



「田中さんほどでもないよ」










悪かったね。







…ふと、私はキョロキョロと辺りを見回した。




もしかしたら佐々木くん達もいるかも…。


いや、カップルだしまあ普通来るよね。






また会ったらやだなぁ。










「…何そわそわしてるの?」



「えっ、あ、いやー…」



「佐々木のことか」










うっ。


バレてるし…。





三鷹くんは小さく溜息をついて私を見下ろす。


…き、気にしすぎかな。









「ちょっとどころじゃないじゃん。未練ありまくりだよね」




「…いや、なんでだろう、もう好きなはずないのになー…」




「忘れなよ」




「…そうだね…」




「さっき忘れよって言ったの田中さんじゃん」











…ん?



なんか、三鷹くんいつもと違う?




そう思ってチラリと三鷹くんを見上げると、彼は眉間にシワを寄せてこちらを見つめていた。








えっ。












「み、三鷹く、」



「いじいじしてる田中さんすっごい見ててムカつく」










そう言って三鷹くんはいつものようにニッコリ笑った。





あ……はい。


そういうことですか。






やっぱりいつもの三鷹くんだった。






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