最低王子と恋の渦
「あるの!?」
「一個くらいあるでしょって言ったの君じゃん。馬鹿?」
「うっ…、いやでも誕生日かぁ…」
さすがに三鷹くんにとってもこの世に生まれてきた日は特別だと感じるんだなぁ。
なんか人間らしくて安心したよ。
って言ったらまた怒られるんだろうけど。
…というか、
「そういえば三鷹くんの誕生日っていつ!?」
私三鷹くんの誕生日知らない!
というか、王子王子言ってる子達からもそんな話題聞いたことないし、
もしかして三鷹くん、誕生日誰にも言ってなかったりするのかな?
「…さあ、いつだろうね」
「誤魔化さないでよー。さすがに誕生日くらい祝うのに」
「さすがにってなんだよ黙ってろよ」
「まあ三鷹くんが言いたくないならいいけどさー」
「うるさいな馬鹿。絶対今は教えてやんない」
「えっ!?な、なんで今は駄目なの?」
「いつか分かるから」
な、なんですかそれ。
ニッコリ笑う三鷹くんはなんだか近寄り難かった。
「いつっていつなんですかぁー」
「うざいな。田中さんにはちゃんと教えるから」
……。
…へ、へぇ…〝私には〟教えてくれるんだ。
…………どうしよう、
なんでかニヤける。
「とりあえず今日は割と良かったよ。観たい映画も観れたし」
「あ、うんっ、それは良かったです。こちらこそ色々ごめんね…ありがとう」
「ん、全然」
…なんだ。
三鷹くんも少しは楽しんでくれてたんだ。
良かった。
ほんとに。