最低王子と恋の渦






「…じゃあもう暗いし、今日はもう帰ろうか」




「あ…そうだねっ」











三鷹くんのその言葉で、私達はクリスマスムード全開なその大通りから帰ることにした。



恋人達のクリスマスの醍醐味はなんと言っても夜である。


そんなイチャイチャな空気の中、非リア充である私達がぽつんといれば完全に場違いなわけで。




というか辛い。







…少し名残惜しい気もするけど、確かにこれからしたいこともないし、ここは素直に帰ることにする。



三鷹くんも連れ回しちゃって悪いし。











「…明日って、田中さん予定あるの?」



「ん?」









不意にそう尋ねてきた三鷹くん。


私は下から彼を見上げつつ、「あぁー」と明日のことを考えながら話を続けた。











「あるよ予定。毎年クリスマスは私の家と友也の家とで集まってパーティーしてるんだ」



「…へぇ、ほんとに家族で仲良いんだね」



「んーまあね!これは今まで一回もしなかった年なんてないんだよ。私としても結構楽しみにしてるし」










ニッと歯を見せて笑うと、三鷹くんは「ふーん」と私から目を離し前方に顔を向けた。










「いいね」



「お!でしょっ?」



「羨ましいとは思わないけど。イベント事に興味ないし」



「…ですよねー…」










まあ三鷹くんならそう言いそうな気はしてたけどさ。



あんな綺麗なクリスマスツリー見てもテンション上がらないなんて冷めすぎだよ。



…やっぱり三鷹くんにもちょっとは楽しんでもらいたいしさー。










「じゃあ三鷹くんの一番テンション上がるイベントってなんかないの?」




「は?何その変な質問。イベントに興味ないって言ったじゃん」




「~~っ、だからぁ!これは特別かなって思えるイベントだよ!一個くらいあるでしょっ?」




「…あぁ特別か……、誕生日かな」










…えっ!?





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