最低王子と恋の渦
「ありがとう…」
私がそう言うと、三鷹くんはニッコリと綺麗な顔を惜しげもなく私に向けた。
「手間取らせないでよね」
へ?
と、首を傾げる私をよそに、三鷹くんはくるりと踵を返して歩き出した。
「ほらもう教室帰ろう。授業遅れる」
「あ、うん」
私も三鷹くんについて行くように歩き出す。
…確かに最低野郎だけど、
なんだかんだ助けてくれたし…王子の名前は伊達じゃなかったんだね。
なんて本人には絶対言わないけど。