最低王子と恋の渦
「ち、ちがっ…これは…」
「何が違うの?お前ら田中さんを僻んでるんでしょ?」
「うっ…」
図星だったのか、彼女達は気まずそうに俯いた。
三鷹くんはその様子を見て大きく溜息をつく。
「田中さんもブスだけど、お前らもケバいだけのただのブスだね。田中さんより性格悪いし、最悪だよ」
もうどっちが最悪なのか分かんないよ。
畳み掛けるような罵倒を浴びた彼女達の目には既に涙が溜まっている。
…ほんとに、こんなに言われてもこの最低野郎が好きなのかな。
余程の精神力がいると思う。
「もういいから。早く教室帰りなよ」
その三鷹くんの言葉を聞いた彼女達は、バタバタと泣きながらその場を去って行った。
…こ、怖かった…。
「…ていうか三鷹くん、なんでそんな最低なのに人気あるの?
…普通だったら絶対嫌われてるよ…」
「は? 何それ。せっかく助けてあげたのに」
えっ。
と、目を丸くすると、三鷹くんはふうと息を吐いた。
た、助けてくれたん…だね、やっぱり。
たまたま通りかかったからとかじゃなくて。
…あれ、なんか私の方が性格悪い気がしてきた。