最低王子と恋の渦




「あ、あのさ三鷹くん」



「何」



「あの卒アルって…藤本さんとの写真を私に見せるためじゃなかったの…?」



「……は?何それ」



「ほら、あの手繋いでるやつ…」



「…そんな写真があったことすら初めて知ったし、そんなつもりで見せるわけないでしょ」



「そ、そうなの!?え、じゃあ…」



「うん。

ただ田中さんに俺のこともっと知ってもらいたかっただけ」







何もかも


全て



私の大きな勘違いだったようで。





……ほんとに病院行った方がいいのかもしれない。





ていうか、私に知ってもらいたかったって…。

なんか…嬉しいな。





「田中さんそんな勘違いしてたとか、その深読みレベルも末恐ろしいよ」



「だ、だって三鷹くんがまさかそういう風に考えてたとは夢にも思わなくて…」



「…まあ素直に言わない俺も悪いんだけど」



「え…?」



「素直になれないからこういうことになっちゃうんだろうね」



「な、何の話?」



「…ううん、なんでもないよ」





にっこりと優しい笑顔を浮かべる三鷹くんに、私は思わずキュンとしてしまう。

…そんな顔とそんな優しい声で言われたら、もうこれ以上聞けなくなるのです。







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