最低王子と恋の渦
「…でも、ほんとに久しぶりだね。2年ぶりくらい?」
「うん」
藤本さんはサラリと髪を耳に掛けながら話し出す。
俺はコップに注がれたメロンソーダを少し飲んでみた。
…不健康そうな飲み物だ。
おまけにメロンソーダにはメロンの果汁は含まれていない。
まあ嫌いではないけど。
「…田中さん?」
「…え?」
「秀吉くんのお友達だよね?その人と昨日会ってね…」
「ああ、それなら田中さんから聞いたよ」
「…田中さん、何も言ってなかった?」
「何が」
「あ…言わないでいてくれたんだ」
そう言って藤本さんは安心したように笑った。
何もって何。
まさか田中さん何か隠してたのか?
田中さんの分際で。
「…あの、秀吉くん…」
「うん?」
「……あの時はごめんなさい」
彼女は少し俯きがちにそう言い出した。