最低王子と恋の渦




「別れようって……突然…」



「ああ」






2年前。







〝私達、……別れよっか〟







帰り道にそう突然別れを告げてきた藤本さん。

俺は一瞬理解出来なくて、ただただ驚いていた。





〝…ごめんなさい、私…不安で…。

もうこれ以上一緒にいない方がいいと思うの…〟





肌寒い風が吹いていたのを思い出す。


まさか、藤本さんをそこまで追い詰めるほど不安にさせていたとは当時の俺は全く気付かなかった。



俺に非があることは確実だ。



そして俺は素直にそれを承諾し、俺達はその日以来話すことはなくなった。






「…私、ずっと秀吉くんには愛されてないんだと思ってたの…」





そう言いながら藤本さんは眉を下げて力なく笑って。





「でも…そんなことなかったんだって…。

田中さんが言ってくれたの」






それを聞いた俺は目を見開く。



…え?

田中さんが?



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