最低王子と恋の渦









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「……ん…」







目が覚め、ゆっくりと瞼を開く。

するとそこは保健室の天井で。


私はその天井をぼーっと見つめた。







「…あ、田中さん!目ぇ覚めた!?」



「……え…?」






にゅっと視界の端から和久井くんの顔が出てきて、私はきょとんとする。


…なぜ、和久井くん…?






「あの…、ほんとにごめん田中さん!

俺が弾いたボールの先に田中さんがいて…それで田中さんがぶつかって気絶して…」



「…あ、私気失ったのか」



「まじで…ほんとにごめん…っ」






和久井くんは本当に申し訳なさそうに俯いている。

シュンと眉を下げて小さくなっている和久井くんは、まるで叱られた子犬のようだ。






「…いいよ全然。私も偶然通ったんだし、仕方ないよ」



「…田中さん…」






私の言葉に、和久井くんは少しホッとした様子。


…それにしても私はとことんツイてないな。

前の水道管破裂の時といい…。





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