最低王子と恋の渦
「…あのさ、和久井くん」
「…な、何?」
「最近元気ないよね…?前は熱かもしれないってなったけど、明らかになんか…」
「……っ」
和久井くんは私の言葉に顔を歪める。
私から目を逸らし、きゅっと手を握り締めた。
「…こんなこと言うのもなんだけどさ」
「…?」
「和久井くんが元気じゃないと私もなんか嫌なんです…よ」
少し恥ずかしくなって、私は掛け布団で口元を隠す。
でもこれはほんとのこと。
こいつもややこしいことばっかするし、どっちかって言うと迷惑しか掛けられてないんだけど。
良い人だっていうのは、分かってるから。
なんだかんだ友達かなと思ってるし、和久井くんがいると空気が和むような気もする。
うるさいけど。
「……」
「……」
「…た、田中さん」
「……はい?」
「田中さんっ」
「…え、は、はい。聞こえてますけど…」
「俺、元気になる!」
「う、うん…?」
そんな海賊王みたいなノリで言われても。
和久井くんは何か吹っ切れたのか、目をキラキラさせて私をじっと見つめる。
そんな視線が恥ずかしくて、私は掛け布団で顔を覆った。