最低王子と恋の渦
「…な、何ふざけて、」
「ふざけてないよっ。田中さんたまに可愛い顔するんだって!」
「たまにって何っ?いや、ていうかほんとそんなことないからやめて…!」
「ほんとだって!」
すると和久井くんは私の両手を掴んできて、
バッチリと私と和久井くんの目が合う。
「……っ」
「……た、田中さん…俺、」
――ガララッ。
と、
不意に保健室のドアが開かれる音がした。
こんだけ騒いでても何も言われないから、保健室の先生がいないことは分かってたんだけど…。
ベッドはカーテンに囲まれているので、誰が入って来たのかは分からない。
すると、
「……」
シャーッとカーテンが開かれ、私と和久井くんはそのままの体勢でカーテンを開いた人物を見た。
そして、
ぎょっとする。
「……み、三鷹くん…?」
「三鷹…」
そこに立つ三鷹くんはじっと私達を見つめた後、ニッコリと笑った。