最低王子と恋の渦
そういえば三鷹くん、以前お母さんの事を狙っているような発言してたな…。
お母さんの卵焼き絶賛だったし、昨日のお茶だって…。
私はゴクリと唾を飲み込んで三鷹くんを見上げた。
「ね、ねぇ三鷹くん…」
「何」
「もしかして…三鷹くんはお母さんに会いたかっただけなんじゃぁ…」
恐る恐るそう尋ねると、三鷹くんはきょとんとして私を見つめた。
「…三鷹くんが私を家まで送ってくれたのも、お母さんに会うのが狙いだったんでしょ?」
昨日、うちに寄って行くかどうかを問いた時、三鷹くんは乗り出すように「ぜひ」と言った。
やっぱりそれを狙っていたはずだ。
先程まできょとんとしていた三鷹くんは、突然フッと静かに笑い出した。
「まあね」
ニッコリ笑う三鷹くん。
やっぱり…!
「言っとくけどお母さんは渡さないからね!?」
「分かってるって。ほら大声出すな」
むぐっと口の中にリンゴを詰め込まれ、私は言葉を飲み込む他なかった。