最低王子と恋の渦
「美乃!!」
ドアが開かれたと同時に、視界にはなんと友也が飛び込んできた。
ゆ、友也!?
「なんでここに…っ?」
「なんでって…心配だからに決まってるじゃん! 美乃が風邪引いたっておばさんから聞いて…、俺すげえ心配で……」
ハアハアと肩で息をする友也は、次第に落ち着いてきたのかふぅと大きく息を吐いた。
そして悠々とリビングに入ってきた三鷹くんをチラリと見る。
「…ビックリしたよ。ドアが開いたと思ったら三鷹が出て来るんだもん…」
それで玄関先で話してたのか…。
友也に心配掛けちゃったのは悪かったなぁ。
ちゃんと連絡すれば良かった。
「でも川平、今日教室に田中さんがいない時点で不思議に思わなかったの?」
そう言ったのは三鷹くん。
三鷹くんは再び私の隣の席に座ると、肘を付いて友也を見上げた。
「思ったよ!! 学校終わったら真っ先に美乃の家行きたかったのに……」
そこまで言って、友也は口ごもった。
…?
何かあったの…?
「なんですぐ行かなかったの? 放課後、すぐ教室から川平いなくなってたのに」
「そ、それは…」
おかしい。
友也絶対なんか隠してる…。
友也は目を泳がせながら、何を言おうかと考えてる様子。
私はそんな友也をじっと見つめた。
「友也、ちゃんと言ってよ」
「…美乃…」
私の顔を見た友也は言う決心がついたのか、ゴクリと唾を飲んでから話し出した。