続♡プリンセス☆ロード



「俺は素性の知れない子どもだったから。そんな奴に、武術を仕込むのは危険。もしかしたら、俺は意図的に国に送り込まれた刺客かもしれないでしょ」

「そんな、子どもでしょう?」

「王様もそう言って、俺を守ってくれようとしたけど、周りが許さなかった。それもそうだよ、だって俺は自分で自分は悪魔だとか叫んでたんだから」

「…それで、使用人として暮らしてたの?」

「ああ。しばらくは、でも、大きくなるにつれて、騎士たちの姿に憧れを抱いてた。俺も、あんな風になりたいって。強くて、たくましくて、ちゃんと守れるような」




自分を守ってくれた、あの悪魔のようにね。
ミナトはそう言って、笑った。
その笑顔は優しくて儚い。




「俺を救ってくれた王様に恩返しがしたい。強くなって、この国のために戦いたい。そう思って、何度も頼み込んだ。俺を騎士にしてください。どんなことでも耐えますから。強く、なりますから。ってね」

「なれたんだね」

「すんなりとはいかなかったけどね。やっぱり最初は蹴散らされた。でも、毎日毎日通って頭下げて…そしたら、訓練だけでもつけてやるって。もしそれで見込みがなければ諦めろって」

「そう」

「嬉しかったよ。認められたんじゃないかって。でも、違った」

「え?」




私は首をかしげる。




「俺を育ててくれた使用人の人たちが俺の知らないところで、騎士たちに訴えてくれてたんだ。そんなことも知らないで、自分ひとりの力で認められたと思って喜んでた。バカでしょ?」

「そんなことないよ」

「指導してくれることになった騎士の人に教えてもらったんだ。そんなにも、思われてるんだ、その思い無駄にするなよって言われて。やる気が出た。絶対に認められてやるって」




ミナトの声は、イキイキとしている。
その頃のミナトは希望に満ち溢れていたんだろう。




< 161 / 310 >

この作品をシェア

pagetop