続♡プリンセス☆ロード
「俺は素性の知れない子どもだったから。そんな奴に、武術を仕込むのは危険。もしかしたら、俺は意図的に国に送り込まれた刺客かもしれないでしょ」
「そんな、子どもでしょう?」
「王様もそう言って、俺を守ってくれようとしたけど、周りが許さなかった。それもそうだよ、だって俺は自分で自分は悪魔だとか叫んでたんだから」
「…それで、使用人として暮らしてたの?」
「ああ。しばらくは、でも、大きくなるにつれて、騎士たちの姿に憧れを抱いてた。俺も、あんな風になりたいって。強くて、たくましくて、ちゃんと守れるような」
自分を守ってくれた、あの悪魔のようにね。
ミナトはそう言って、笑った。
その笑顔は優しくて儚い。
「俺を救ってくれた王様に恩返しがしたい。強くなって、この国のために戦いたい。そう思って、何度も頼み込んだ。俺を騎士にしてください。どんなことでも耐えますから。強く、なりますから。ってね」
「なれたんだね」
「すんなりとはいかなかったけどね。やっぱり最初は蹴散らされた。でも、毎日毎日通って頭下げて…そしたら、訓練だけでもつけてやるって。もしそれで見込みがなければ諦めろって」
「そう」
「嬉しかったよ。認められたんじゃないかって。でも、違った」
「え?」
私は首をかしげる。
「俺を育ててくれた使用人の人たちが俺の知らないところで、騎士たちに訴えてくれてたんだ。そんなことも知らないで、自分ひとりの力で認められたと思って喜んでた。バカでしょ?」
「そんなことないよ」
「指導してくれることになった騎士の人に教えてもらったんだ。そんなにも、思われてるんだ、その思い無駄にするなよって言われて。やる気が出た。絶対に認められてやるって」
ミナトの声は、イキイキとしている。
その頃のミナトは希望に満ち溢れていたんだろう。