続♡プリンセス☆ロード



「で、無事認められた。血反吐を吐くほど訓練はきつかったけど。楽しかったよ」

「そっか」

「うん…」




そして黙ったミナト。
沈黙が部屋を包んだ。




「以上。ミナト君の生い立ちでした」




いつもの無邪気な笑顔を見せる。
その笑顔の裏に、こんな過去を抱えていたなんて。

私は、知らなかった。



「だから、俺には親がいない。俺に、親はいらない」

「ミナト…」

「俺に過去なんていらないんだ」



はっきりとそう告げた。
ミナトの両親は、なぜ生まれたばかりの彼を捨ててしまったんだろうか。



「…俺は、恩を返せたかな?」

「え?」

「王様が王様のうちに、恩を返したいって思ってた…。でも、俺…なにもできなかった気がする」




どうしたら恩を返すことになるんだろう。
立派になったら?
成果を残したら?


「ミナトが生きてることだよ。きっと」

「俺が、生きてること?」

「それを望んで、王様はミナトを助けたんだから」



生きてほしいと思わない人を助けたりなんてしない。
それに、王様は恩返しがしてほしくて助けたわけじゃないよ。
王様の優しさを私は知っているから。




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