続♡プリンセス☆ロード


「 ウィルさん!ミナトが!ミナトがいねぇ! 」
「 なんだって? 」
「 どこ探してもいないんすよ! 」



ジルが、拳を固く握りしめた。



「ミナトがいなくなってすぐ…、魔王さまの軍が我々のもとに来て、ウィルさんを連れて行ったんす…」

「え…?」

「ウィルさんは、人間の子どもを育てたことを魔王さまに…尋問を受けていたんす…」

「尋問…」




あの魔王が行う尋問…。
きっと、生半可なものじゃないだろう。

魔王と対峙した時の恐怖が蘇る。


「育てた子供の外見はどうだったか、特徴や、今どこにいるのか…それを聞き出そうとしたそうなんす」

「…ミナトを探すために?」

「へえ…。ですが、ウィルさんは、そうはしなかったんす。黙秘を決め込んだんす」

「どうして…」



今まで黙って聞いていたミナトが口を開いた。




「魔王さまに見つかれば、おそらく殺されていただろうぜ。だからだよ。ミナトに生きていてほしいからと、最後に父親らしいことをしてやりたいと笑ってたんだぜ」

「ウィルさんが…」

「そういう人なんすよ。ウィルさんのあの片翼は…その時にうけた拷問が原因なんす」

「え…」



ミナトの瞳が揺れる。
ミナトの命を守るために、ウィルさんが負った傷。
それは、とても深く。




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