シンデレラは硝子の靴を
―どうしよう。



長い、永遠に続きそうな廊下を歩きながら、沙耶は不安な思いを抱えていた。



何故なら、今聞いた情報プラス、先日の記憶がまざまざと甦ってきたからだ。





―あんたなんか、大っ嫌いと啖呵を切った気がする。




ただでさえ寝起きが悪いと言うのに、沙耶の顔を見たら余計胸糞悪くなるのではないか。



しかも、殴ったこともあった気がする。


ここぞとばかりに仕返しされるかもしれない。





「こちらでございます。」





中村の声に、ドキリとして立ち止まれば、大きな二枚扉が無言でこちらを見下ろしている。



途中途中部屋はあったが、他とは別格な大きさと造りだった。





「あの…た、盾になりそうなもの、ありますか?」




扉を指し示している中村に訊くと。




「盾…ですか…」




中村が途方に暮れたような顔をする。




「じゃ、じゃぁ、コツ、とかありますか…?」




「…コツ…」



これにも、中村はパッとしない反応を示す。



「今までの方たちはどうやって起こしてたんですか??」



じれったくなった沙耶は、早口で訊ねた。



「そうですね…一番最近ですと窓の外から近づいて、拡声器で起こしていらっしゃいましたね。でも、ソノグラスを使用していますので、音は届かないのでは、と思いました。」




―さ、参考にならない…




「もう、いいです、、わかりました、、、ありがとうございます…」





半ば自棄になった沙耶は、情報収集を断念し、今一度大きな扉と対峙した。





―ほんと、ふざけるなよ、、お坊ちゃんが!

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