シンデレラは硝子の靴を
「それぞれの店はどのような印象を持たれましたか?」



「え?ええっと…」



訊かれて、沙耶は視線を天井に向けて記憶を手繰り寄せる。


正直言うと、急いでいたために、ほとんど思い出せない。





「実は―」



坂月はそう言って、テーブルの上に広げてあった袋の内のひとつを手に取った。



「秋元さんが今日回った店は、どれも、石垣グループのカフェ部門発足に伴って試験的に展開されている所ばかりなんです。」



「え?」




驚く沙耶を横目に、坂月は頷く。




「だから、まぁ、、、ある意味…視察のようなもの、と言えるかと思います。」




―何それ。




沙耶はぽっかりと口を開けて固まった。




「次回行った時には、店の様子等覚えておくといいかもしれません。」




―最初からそう言えば良くない?全然見てないし!





途端に沙耶の中で、苛々が再びひょっこりと顔を出す。




しかし。





「では、着替え次第、改めて仕事内容の詳細を説明致しますので。とりあえず、このフロアにある仮眠室へとご案内します。そこに代えの服もドライヤーもあります。あ、シャワーを浴びたかったらそれもありますから、遠慮なく言ってくださいね。」




沙耶の反応等どこ吹く風で、坂月は何食わぬ顔で立ち上がった。
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