シンデレラは硝子の靴を
―マジで訳わかんない。



石垣からしてみれば、報復の為に、沙耶を捕まえてどう調理しようかとただ思案して居るに過ぎないのだろうが。


坂月からすれば、石垣を守る為に沙耶を雇ったのだ。


この二人の目的の違いが、どうも亀裂を生じさせているように思う。



―なんで、私が二人の用途別に動かなくちゃいけないのよ。



解析して突き当たった事実に、沙耶はげんなりした。



車内は再び静かになり、景色はやがて見慣れたものに変化していく。




―げ。



本能的に嫌な場所。



そこに、近い。




―この近くじゃありませんように。もう倍くらい遠い場所でありますように。




咄嗟に念じるが、その願い空しく、車は大きな屋敷の敷地に入って行く。

着物姿の使用人らしき男性が石垣のことを確認すると、駐車スペースへと誘導した。






「降りろ。」




「・・・」




さっさとエンジンを切り、ジャケットを羽織る石垣を横目に、沙耶は大きく溜め息を吐いた。




「何だよ?」



それに気付いた石垣が、訝しげにこちらを見返したので、沙耶はなんでもない、とだけ言って、降りようとした。


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