シンデレラは硝子の靴を
========================
自転車を漕ぐには、そろそろマフラーが必要になる頃。
「おはようございます!秋元様!」
感極まった様子で中村が玄関に飛び出してきた。
「ご無沙汰しています。中村さん。」
相変わらずなオーバーっぷりに、沙耶は苦笑しつつ、ぺこりと頭を下げた。
「この度は、本当にお辛かったでしょう!私共もお聞きした瞬間から心配で心配で…」
中村がよよよとべそをかいている傍から、わらわらわらとメイド達が出てきて沙耶を囲む。
「大丈夫ですか?」
「肩お貸ししましょうか?」
「車椅子お持ちしましょうか?」
「わわわ…いえ、だいじょ、、はい…その、、」
最終的には執事の佐武さんまでもが出てきて、労わりの言葉を掛ける始末。
「あ、の、えっと…大丈夫ですから!ご心配なく!」
そんな取り巻きの隙間を縫って、なんとか屋敷の中に入り込む。
ちらりと振り返ると、メイド達は沙耶が輪の中に居ないことにすら気付いておらず、ひたすら中央へ向かって口々声を掛けている。
「時間、ないから。ごめんなさいねー」
小さな声でそう呟くと、沙耶は、駆け足で階段を上った。