シンデレラは硝子の靴を
待っていなかった訳じゃない。
けれど、期待することができるほど、自分は夢見る少女じゃなかった。
現実はいつも残酷だった。
男の子が迎えに来てくれなくても、それが現実だといつしか自分に言い聞かせるようになっていた。
自分を取り巻くしがらみは、突然現れてかっらさっていってくれるヒーローに託せるような単純なものじゃない。
だが、思い出は支えとなっていた。
「―っく…」
誰も居なくなった病室で、沙耶の嗚咽が響く。
昔から、沙耶は強いね、と言われてきた。
実際自分はそこまで強くない。
こんなことで、泣けてきてしまう位、本当は弱い。
弱くて、誰かに頼りたくて仕方ない。
だけど、頼り方を知らない。
頼っても、誰も助けてくれない。
ひとりでかろうじて立っている。
石垣の言った『約束』がもしも、沙耶の記憶と同じものだとしたら。
今更、迎えに来てくれた所でどうして飛び込むことが出来るだろう。
時間は、間違いなく経過したのだ。
それは、今。
沙耶と相手との間に確実に線を引いた。
許すことの出来ない境を。