シンデレラは硝子の靴を
ちょうど駿の学校が終わる頃で、そのまま沙耶は駿に連絡を入れ、泊まり込みに必要な荷物を持ってくるよう頼んだ。


峠は越したとはいえ、ICUから出ることは許されない母に、万が一のことがあった場合、直ぐに連絡が取れるよう、家族が院内で待機しなければならないからだ。



一人でも大丈夫なのだが、駿は病院から学校に通うからと沙耶を説得。二人で家族室に泊まることになって今に至る。


無論、坂月は家に帰る。

と、言いたいところだが、途中でほっぽりだしてきてしまった仕事が沢山ある。




「―会社に戻るか。」




病院の外に出ると、夜になった今でも、まだ雨が降っていることに気付く。


天気予報では、夕方には止むことになっていたのに。


スマホを取り出して確認すると、石垣からの着信が恐ろしい程にずらりと並んでいた。



取材中だった為に、石垣に告げることなく沙耶を連れ出してしまったからだ。


恐らく沙耶はそれ所じゃなかったろうから、連絡は未だしていないのかもしれない。




「…面倒くさ…」




沙耶と並んで話した後。の、今。


坂月の中に渦巻く感情が、石垣に向かって苦々しげにぶつけられ。


再びスマホの電源を落とした。
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