シンデレラは硝子の靴を
あの頃、石垣にも坂月にも会っていた―?




「嘘…」




沙耶は狼狽える。




「言うつもりは、なかったんですけどね…」




暗い表情のまま、坂月が溜め息を吐いた。




「どうして、今更そんなこと…」



「それは―」



坂月は、さっき諦めた手を、もう一度伸ばした。



「貴女が」


「っ」



今度は迷うことなく、沙耶の手首を掴む。




「諒を選ばなかったから。」



引き寄せた相手のほっそりとした身体に、今まで抑圧していた想いが溢れ出た。




「坂月さ…」



「どうして―諒と一緒になってくれなかったんですか…」



こんなに。


こんなに抑えて我慢してきたのに。



思いのままに抱き締めたら、壊れてしまいそうな沙耶を、坂月は優しく包む。




だが、沙耶からは坂月の表情は見えない。





「本当はずっと言いたかった。諒じゃなく、俺を頼ってくれって。」



「!」




ストレートな告白は。



「貴女がどう思ってるかはわからないけど、少なくとも俺は貴女と同じ側の人間だと思っています。」



沙耶に寄り添うように、紡がれていく。



「俺は諒の味方じゃない。」



< 308 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop