シンデレラは硝子の靴を
「ぼ、僕の仲間になると良い事が沢山あるよ。」
平静を取り繕って言ってみた。
「―例えば?」
興味を示したらしいさぁは食いついてくる。
―よし!あともう一息だ!
諒はこの交渉をなんとか上手くいかせる為に、自分の力を見せびらかせることにした。
「僕の家にはないものはたぶん、ないよ。さぁちゃんが欲しいものはなんでも揃ってる。ゲームも、もういらないのばっかだから、欲しかったらあげるよ!それに、学校じゃ僕はすごくモテモテなんだ。女を仲間にしてあげる、なんてこと自体すっごく光栄なことなんだぜ。」
えっへん、誇らしげに胸を張ってみせた諒に対し、さぁは無言で背を向ける。
「あっ!ちょっと、待ってよ!」
慌てて呼び止めるが、さぁはどんどん歩いて行ってしまう。
―おかしいな。
自分と付き合うことの利点を教えてあげたって言うのに、どうしてさぁは行ってしまうのか、諒には理解できなかった。
―ゲームじゃなかったか。女だったら甘いものとかの方が良かったのかな。
変な反省をしながら追い掛ける。
「何で行っちゃうんだよ!」
やっと追いついて、筋張った自分や楓のような感触ではなく、柔らかくて細いさぁの手首を掴むと、彼女は漸く立ち止まった。
そして、くるりと振り向いて―。
「あんたなんか、大っ嫌い。」
「―え?」
目を吊り上げて自分を睨みつけているさぁに、諒は一瞬何て言われたのかわからなかった。
「あんたみたいな奴、大っ嫌いって言ったのよ。」
薄暗い竹林。
繰り返された言葉はきつく響いた。