シンデレラは硝子の靴を
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「浮かない顔してるね?」
雨降る夜。
諒が孝一の会社に顔を出したのは、真夜中になってからだった。
「しかも濡れてるし。」
面白そうに観察結果をつらつら並べる孝一を、諒は無言で睨みつける。
「こんな夜中になんだよ?俺ももう帰る所だったんだけどな。」
孝一はわざとらしく溜め息を吐いて、椅子に座り直した。
「そういや、あの秘書どうしてるの?なんか大怪我したみたいだけど、大丈夫だったの?」
諒はふて腐ったように頷く。
「あ、その顔。悪かったなーって思ってる顔だね。全く諒は本当にわかり易いよね。」
あはは、と軽く笑い飛ばす孝一に、諒はここに来たことを若干後悔し始める。
「で、何だよ?早く言いなよ。」
「……ちょっと、訊きたいことがあって。。」
「ん?」
「お前のさ、女…平民だろ。」
歯切れ悪く呟く諒に、孝一は耳を欹(そばだ)てる。
「だからさ!お前の女って、確か平民だったろ!」
「うるさ…」
突然大声になった諒に、孝一の耳が痛んだ。
「人の婚約者を平民呼ばわりって…言い方悪いな。」
「そこが問題だから言ってんだよ。」
決まり悪そうに目を逸らした諒に、孝一は首を傾げた。
「まぁ、少なくとも千晶は社長令嬢でも財閥の娘でもないけど。それがどうかしたの?」
じっと床を見つめ、何かを考えているようだった諒は、ややあって顔を上げる。
「嫌がんなかったの?お前の女。」