シンデレラは硝子の靴を

========================





「浮かない顔してるね?」




雨降る夜。



諒が孝一の会社に顔を出したのは、真夜中になってからだった。




「しかも濡れてるし。」




面白そうに観察結果をつらつら並べる孝一を、諒は無言で睨みつける。




「こんな夜中になんだよ?俺ももう帰る所だったんだけどな。」




孝一はわざとらしく溜め息を吐いて、椅子に座り直した。




「そういや、あの秘書どうしてるの?なんか大怪我したみたいだけど、大丈夫だったの?」




諒はふて腐ったように頷く。




「あ、その顔。悪かったなーって思ってる顔だね。全く諒は本当にわかり易いよね。」




あはは、と軽く笑い飛ばす孝一に、諒はここに来たことを若干後悔し始める。




「で、何だよ?早く言いなよ。」



「……ちょっと、訊きたいことがあって。。」



「ん?」



「お前のさ、女…平民だろ。」




歯切れ悪く呟く諒に、孝一は耳を欹(そばだ)てる。





「だからさ!お前の女って、確か平民だったろ!」



「うるさ…」



突然大声になった諒に、孝一の耳が痛んだ。




「人の婚約者を平民呼ばわりって…言い方悪いな。」



「そこが問題だから言ってんだよ。」



決まり悪そうに目を逸らした諒に、孝一は首を傾げた。



「まぁ、少なくとも千晶は社長令嬢でも財閥の娘でもないけど。それがどうかしたの?」




じっと床を見つめ、何かを考えているようだった諒は、ややあって顔を上げる。



「嫌がんなかったの?お前の女。」



< 323 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop