シンデレラは硝子の靴を
「大きくなって、俺が諒を超えられたら、貴女を迎えに行こう。そう、思ってました。」



誇りひとつ、持っていなかった小さな掌に、のせられた大きな約束。


この子の為に、強くなる。


この子を守る為に、強くなる。



その為には、諒を超えられなければならないと。


なかった力が、湧き起こる感覚に、心が震えた。



子供の頃、それは叶わない夢じゃなかった。



超える程まで行かなくとも、努力すれば、諒の隣に並ぶ位にはなれると信じていた。



あの女の子に、どちらかを選んで欲しいと言える位までは。




「貴女との約束は、俺にとって、支えで、生きる力になってました。でも―」



大きくなるに連れて。


現実は、そうならないと知った。




「諒と俺とじゃ、雲泥の差があった。それが本人の問題ならまだ納得できる―」




でも、そうじゃない。




「立っている場所が、そもそも違ったんです。」





最初から、届く訳、なかった。




「諒がアメリカに行っている間、俺は負けじと、日本で頑張って…中等部に上がったばかりの頃、父親が亡くなりました。」



同時に老いた母のアルツハイマー病が悪化した。


坂月家の跡取りは、自分しか居ない。





自分がしっかりしなければ。



母の世話も使用人に任せっきりにすることなく、率先して行った。




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