龍乃一味のカオスな学園生活
立禅が終わり、門下生達の道着が汗で湿ってくる頃。

「二人一組に分かれて組手。ぼんやり技繰り出してんなよ?『考える組手』を忘れんな。はじめっ!」

ようやく実戦を意識した組手が始まる。

とはいえ、有段者でも本格的な龍娘流の技を使える者は僅か。

見た感じは空手の組手とあまり変わらない。

そんな中。

「おぅノエル」

龍太郎がノエルに声をかける。

「俺と組手やってみっか?拓斗の教えを見せてみろ」

「は、はいっ!」

紅白帯を締めた龍太郎と、黒帯のノエルが道場で対峙する。

「おい、見ろよ」

「あれが橘師範の息子の…」

「ちっせぇな、まだガキだし」

「馬鹿野郎、橘師範もあの小柄で、丹下師範を追い詰めたって話だぜ?」

ヒソヒソと話す門下生達。

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