龍乃一味のカオスな学園生活
体育館の壁際。

亜鳥は凭れ掛かったまま、行き交う人波を見ている。

その瞳はあくまで鋭い。

特にカップルに対しては突き刺さるような視線を浴びせる。

(何よ何よ、私の前でイチャイチャしてるんじゃないわよ、それは私に対する当てつけ?)

罪もないカップル達が、亜鳥の八つ当たりの犠牲となる。

(この高貴で気高い翼を持つ河童の私を、こんな華やかなパーティーの席で壁の花にしとくなんて随分な仕打ちじゃないのよ!この礼は高くつくわよ?鴉丸の縄張りに戻れば、この私に媚び諂ってご機嫌取りする妖怪の男どもなんて掃いて捨てるほどいるっていうのに)

そんな亜鳥をここまで待たせるとはどういうつもりかと。

まぁつまり、亜鳥は『待ち人』が来ないのに腹を立てているのだ。

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