「幽霊なんて怖くないッ!!」
ドキン、と心臓の音が鳴る。
私を殺しに……?
つまり、それは……この人は、氷雨という男の人は、カゲロウが送ってきた人物だということ……?
「つーのは、もちろん嘘っ」
「……え?」
にっこりと笑った彼は、横断歩道を渡りきったところで手を差し出してきた。
……握手しよう、ってこと……?
「俺、キミが休んでる間に転校してきたんだ。
なんでキミの顔を知っていたかというと、まぁ理由は簡単。 クラスの女の子から写真を見せてもらったからだよ」
「……殺す、っていうのは……」
「正真正銘ただの冗談っ。 むしろ俺は命を守る側だし?」
……守る側? それっていったいどういう意味……?
と聞こうと思った時に、彼は微笑みながら言葉を続けた。
「キミ、幽霊に狙われてるよね?」
「……っ……」
「ふふっ、図星だ。 大変だよねぇ、俺も狙われる側なんだ。同類、同類っ」
「え……」
……この人、なんなの……?
幽霊に狙われているのは私たち『カゲロウの血』だけだと思っていたけれど、でも、違うの……?
「あなた、いったい……」
「俺の一族はね、幽霊が視える奴はみんな幽霊に狙われるんだ。 それも何百年も前から。 いわゆる『呪われた家』ってやつ」
……幽霊が視える人は、みんな幽霊に狙われる。
それって、『カゲロウの血』そのものだ……。
……どうしてなんだろう。
この人は『カゲロウの血』じゃないのに、なんで同じように幽霊に狙われているの?
カゲロウは他の一族も襲ってるってこと?
それとも、カゲロウじゃない誰かが呪いを……?
……でも、この人は『何百年も前から』って言ったよね?
それって、遙か昔から呪いが続いてるってことだ。
カゲロウは不老不死の水を飲んでいるから、何百年も前から『カゲロウの血』を呪い続けている。
……薄暮さんやカゲロウたちの他にも、不老不死の水を飲んで呪いを行ってる人が居るの?
それとも、やっぱりコレもカゲロウが……?