「幽霊なんて怖くないッ!!」
「……あの、氷雨さん。 ちょっと待っててくれますか? 知り合いに、連絡しますので……」
「彼氏に電話?」
「そんなんじゃないですからっ」
「つーかタメ口でいいよ? あと『さん付け』も無しね? 俺ら同級生でクラスメートだし」
「……じゃあ、氷雨くん。 ちょっとだけ、待っててね?」
「あいあいさー」
ニコッと笑う氷雨くんをチラチラと見ながら、私は急いで八峠さんへと電話をかける。
コール音が1回、2回……3回目が終わる直前で、やっと八峠さんが出てくれた。
『お前 彼氏居たの? 秋にラブなんじゃなかったのか?』
「……っ……馬鹿なこと言ってないで、どこかで見てるならすぐ来てくださいっ!! この人は、そのっ……私たちとおんなじでっ……」
『同じ?』
「……この人も……ていうか、この人の一族も、幽霊が視える人はみんな狙われてきてるらしいです」
通学路を行く他の人に聞こえないように小さな声でそう伝える。
そんな私の言葉に、八峠さんは一瞬言葉を無くしたようだったけれど、『今 行く』との言葉のあと すぐに電話は切れた。
「彼氏、今 来るの?」
「……だから、彼氏じゃないってば……」
「ふぅん? で、今チラッと聞こえたんだけど、もしかして双葉ちゃんの一族も『呪われた家』?
双葉ちゃんだけが狙われてるわけじゃないんだ?」
「……うん。 氷雨くんと同じで、私たちの一族も、幽霊が視える人はずっと狙われてきてるんだ」
氷雨くんは『呪われた家』と言い、私は『カゲロウの血』と言う。
でも両方とも同じように狙われている。 それは事実だった。