強がりウサギの不器用な恋

「だけど、あそこで真吾の名前を出されたのは、さすがの俺もズシっときたわ。」

「……あそこ、って?」

「さっきの、プールで……」

「………」

「抱き合ってるときに、言うか? 他の男の名前を。」


そう言われ、私はこの上なくバツが悪くて視線を逸らせた。


ナンパされた私に、無事でよかった、と抱きしめてくれた海藤さん。
なのに私はそんな場面でも、何故か社長の名前を口にしてしまって。


守ってくれたことに少なからず感動して、抱きしめ返すように背中に手をまわしていたにも関わらず……

口から出てきたのは、抱擁し合っている目の前の男とは別の名前だなんて。


失礼すぎて穴があったら埋まってしまいたいし、自分自身を叱責したい。



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