強がりウサギの不器用な恋
あれはちょうど、社長が奥さんと付き合いだした頃。
仕事そっちのけでボランティア事務所に入り浸る社長に業を煮やして私自身がそちらへ赴けば、そこに見慣れない綺麗な女性が有沢さんの隣に座っていた。
紹介されなくても、女の勘ですぐにピンときたのを思い出す。
「結婚式は身内だけでされたので、結局それから会う機会がないままなんです。」
妊娠初期に具合があまり良くなかった奥さんは、バイトも辞めたし、ボランティア事務所のほうもほとんど来なくなってしまった。
そうなると、私と会う機会なんて限りなくゼロだ。
「けっこうお腹が目立ってたよ。でっかいお腹してた。」
「そうですか。…もう来月ですもんね、赤ちゃんが産まれてくるのは。」
「産まれたら、会う機会ができるかもな。」