強がりウサギの不器用な恋

彼が病院の傍にあるコンビニに向かおうと、数歩歩き出したときだった……

分娩室のほうから聞こえてくる明未さんの声が、一際大きくなって。

そのあと、数人の女性の歓声に似た嬉しそうな声が聞こえてくる。


「こ、これって……」


私は立ち上がり、気づいた海藤さんも私の元へと戻ってきた。


「無事に産まれましたよ。元気な女の子。」


分娩室から一人の看護士さんがそっと出てきて、私たちにそう告げる。


その看護士さんが再び分娩室に戻るとき、
その扉の隙間から、―――― 赤ちゃんの泣き声が聞こえた。



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