強がりウサギの不器用な恋

……呆れた。
確かにあの時、聞くだけ聞いてやるから言ってみろ、みたいな感じで。

私の希望を聞き入れてくれるとは約束しなかったけども。


そうは言っても!
普通はあそこまでお願いしたら聞いてくれるもんなんじゃないの?

最後まで、海藤さんには言わないでっていうお願いを。


あぁ、もう。
私が頭を下げてお願いしたあの時の気持ち、返してくれ!!


「『お願いを聞いてやれない分、二人でちゃんとぶつかって話せ。』って。」


その言葉が、ものすごく社長らしくて。

諦めと共に、腹が立つような苛々とした気持ちも、一瞬で削がれるみたいに凪いでいく。

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