難攻不落な彼女
2章 友達な彼女
新学期が始まって、1ヶ月が経った。

その間に涼介が咲良についてわかったことは、女の子からモテている訳ではない。ということだ。咲良は男女とわず人気なのだ。


学年トップクラスの成績で、運動神経抜群。なのに嫌みもなく、誰とでも笑顔で話す咲良。一見冷たい印象を与える綺麗すぎる顔を惜しげも無く崩し、よく笑うその人柄は、誰もを引きつけてやまない。


涼介に対しても同じだった。隣の涼介を必要以上に気にすることも無く、避けることもない。他のクラスメイトと同じように扱う咲良。


初日に受けた衝撃からか、それとも慣れない扱いのせいか、涼介は咲良に対して妙な劣等感を抱いていた。


「何か、俺、小さい気がする。」


特別扱いされずに、意地けている。

そう自覚して、ついついそんなことを呟いてしまったのは、購買に一人でパンを買いに行って、戻る途中だった。


はぁ・・・


ため息を付きながら前を向くと、咲良がジュースを買っていることろだった。

ついつい見てしまっていると、咲良はリンゴジュースのボタンを押した。

だが、出てきたパックを手に取ってみると、それはカフェオレだった。



それが、よっぽどショックだったのか、眉間にしわを寄せ、ボー然と立ち尽くす咲良。
そして、その顔はだんだんと泣きそうになっている。


その顔を見て、クスッと笑ってしまう涼介。財布から小銭を取り出すと、まだ動けないでいる咲良の後ろから、自動販売機に入れた。


そして、リンゴジュースのボタンを押すとそれを取り出し、咲良の前に差し出した。
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