君と、優しくて愛しい日々を。


三ヶ月前から始まった、コウとの新たな関係。

私は、それに慣れるので精一杯だ。

部活のあと、一緒に帰るのが当たり前になったり、昼休みは一緒に弁当を食べたり。

なんだか少しだけむずがゆくて、でもホッとして、緊張して、幸せで。

恋愛とかっていうのは、心のなかがとても忙しいんだなと思う。

コウがいつだって、私の頭の片隅にいる。

……そんな、日々。



ピーーーー……

男子の試合の、前半の十分間が終わった。

選手たちが息を切らしながら、ベンチへ戻ってくる。

私は体育館の両端につくられた二階部分のうち、うちの高校のチーム側で選手たちを見下ろしていた。


コウはスポーツドリンクの入ったボトルをぐいっと飲むと、ふとこちらを見上げる。

ばちっと目があって、ドキリとした。

ユニフォーム姿のコウは嬉しそうにニッコリ笑って、ぶんぶんと手を振ってくる。

…試合中だってのに、元気いいな。

ハイハイ、と小さく手を振り返していると、コーチが選手たちを呼んだ。

他の男子の選手たちがコーチの元へ集まり、コウも慌ててそちらへ向き直る。

私はその後ろ姿を、目を細めて見つめていた。



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